研究開発職に36協定は関係ない!業務内容や36協定についても解説!
研究開発職は36協定の36協定の規制対象外であることをご存じでしょうか。
本記事では、36協定の基礎知識に加え、研究開発職の種類やその業務について紹介します。研究開発職の労働環境、特に時間外労働に関して疑問を感じている方は、本記事を是非チェックしてみてください。
「研究開発職は、残業の規制がないと聞くけどブラックな職種なの?」
「研究開発職で労働環境が整っている企業は、どうしたら見つけられるの?」
研究開発職に従事していたり、目指していたりする方はこのような疑問や不安があるのではないでしょうか。
本記事では36協定の意味や、本来の目的に関する基礎的知識に加え、研究開発職にその適用が除外されていることについて紹介します。また、研究開発職の種類や業務内容についても詳細を説明します。
記事を読むことで、時間外労働や休日の規制について知識が身に付き、研究開発職に適した労働環境の理解が深まるでしょう。
研究開発職の労働環境に悩みがある方や、36協定について詳しく知りたい方は、この記事を是非読んでください。
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研究開発職は36協定の適用が除外されている
研究開発職の中で、新技術・新商品等の研究開発業務に従事する人は、36協定において時間外労働の上限規制が適用対象から除外されています。
新しい技術や商品の研究開発は、特定の期間で業務が立て込むケースが多く、業務の特性を考慮して、36協定による労働時間の上限規制になじまないと判断されたことが理由です。
36協定の適用対象から除外される研究開発職がどのようなものか、紹介していきます。
出典:上限規制の適⽤が猶予・除外となる事業・業務があります。|厚生労働省
出典: 労働基準法施行規則第一六条及び労働基準法第三六条の協定において定められる一日を超える一定の期間についての延長することができる時間に関する指針について|厚生労働省
研究開発に該当する業務
新技術・新商品等の研究開発の業務とは、専門的・科学的な知識や技術を持つ人が従事する業務です。
具体的に対象となる業務について、行政解釈では下記のものが該当するとしています。
・その他1~4に相当する業務 |
上記の新技術・新商品等の研究開発業務についての詳細な範囲は、個々のケースによって判断することが必要になります。
研究開発職の適切な労働環境を守る方法
研究開発職は36協定の上限規制の対象外ですが、労働組合に加入し、具体的な労働時間の上限を明記した協定を締結する必要があります。これにより、労働時間の延長限度が適用されない研究開発職でも、適切な労働環境が担保されるでしょう。
出典: 研究開発職の時間外労働の限度基準|東京労務管理総合研究所
自分が「研究開発業務」に該当するか確認が必要
企業の研究開発部門には事務等の業務もあり、研究開発の業務に従事していても場合によっては、労働時間の延長限度の除外対象に含まれないことがあるでしょう。
このため、自分が研究開発職として、36協定の適用除外対象であるかを確認することが大切です。
適切な労働環境の勤務先か見極めるポイント
36協定の内容が従業員に対して公開することされているかどうかも、併せて調べましょう。
36協定の内容をしっかり把握することで、勤務先に適切な労働環境が整備されているか判断することができるでしょう。
この他、労働時間の管理体制、残業の実態とその報酬、健康管理とワークライフバランスなどについても確認し、労働環境に問題がないかチェックしましょう。
36協定が適用されない研究・開発職とはどんな仕事?
研究職と開発職は、企業や組織における役割や目的が異なり、それぞれに特有の職務内容やスキルが求められます。
研究職は新しい知識の発見が主目的であるのに対し、開発職は具体的な製品やサービスの開発・改良が主目的です。
研究職と開発職は相互に補完し合う関係にあり、研究職が発見した新しい知識や技術を開発職が実際の製品やサービスに応用することで、企業や社会に貢献します。
次に、研究職と開発職の業務について、それぞれ詳細を説明していきましょう。
研究職の種類と仕事内容
一般的に研究職は「基礎研究」と「応用研究」の2つに分類されます。
基礎研究は、5~10年の長期的な視点でビジネスに応用可能な成果を出すことを目指す仕事です。
応用研究は、基礎研究の成果などをもとに、具体的な技術や製品の開発を目指します。また、実験や試作を通じて、新しい技術を既存の製品に活かせるかについても研究します。
職務内容ですが、製品の開発・既存商品の改良に向けて基礎研究や応用研究を行い、新たな知識や技術を発見することが主な目的です。
開発職の種類と仕事内容
開発職は主に「商品開発」「技術開発」「研究開発」の3つに分けられます。
商品開発は、企画開発部門が描いた商品イメージをもとに、新しい商品を作る仕事です。
技術開発は、新たな商品を開発・製造するための技術を生み出し、技術の活用法をいかに最適化するかを目指す、エンジニアの役割を果たします。こうした技術開発には高い専門性が求められます。
研究開発は、研究職が発見した知見を利用して、市場ニーズに沿った製品を具現化する仕事です。
そもそも36協定とはなに
36協定(さぶろくきょうてい)とは、労働基準法第36条にもとづく労使協定のことで、正式には「時間外及び休日労働に関する協定」と呼ばれます。
企業が法定労働時間を超える時間外労働や、休日に労働させるためには、この36協定を労働組合または労働者の代表と締結し、労働基準監督署に届け出る必要があります。
36協定が締結されていない場合、企業は法定労働時間を超える労働を労働者に命じることができません。
これらを踏まえて、36協定について理解しておくべき内容を説明します。
出典: 36協定で定める時間外労働及び休日労働について留意すべき事項に関する指針|厚生労働省
出典:36(サブロク)協定のない残業は違法です!!|厚生労働省
法定労働時間と所定労働時間の違い
法定労働時間(1日につき8時間、1週間につき40時間)は法律で定められた労働時間です。
企業は原則として、この法定労働時間を超えて労働させてはならないと定められています。更に、毎週少なくとも1回の休日を与えるか、4週間に4回以上の休日を与えることが必要になります。
一方、所定労働時間は、企業や労働契約によって設定された労働時間です。法定労働時間の範囲内で設定することができます。企業は、法定労働時間を遵守しつつ、業務に応じて所定労働時間を適切に設定することが求められるでしょう。
出典: 労働時間・休日 |厚生労働省
36協定締結でできるようになること
36協定を締結することにより、企業は法定労働時間を超える時間外労働(残業)や休日労働を労働者に対し、合法的に命じることができるようになります。
しかし、36協定はあくまで例外的な措置に過ぎません。法令違反を犯してしまう恐れもあり、締結と運用は、労働組合など所定の機関と協議の上、正確に行う必要があるでしょう。
出典: 36協定で定める時間外労働及び休日労働について留意すべき事項に関する指針|厚生労働省
36協定の特別条項で更に労働時間を延長される
特別条項付き36協定は、臨時的かつ特別な事情が発生した場合に、36協定で取り決めた延長時間以上の労働を可能にする手段です。
しかし、その適用には厳しい制限が設けられており、企業は労働者の健康管理を徹底し、労使協議を適切に行うことが求められるでしょう。
36協定が目指しているもの
36協定は、法定労働時間を超える労働を合法的に行うための枠組みです。労使間の合意形成、労働者の健康保護、労働環境の改善、法的リスクの軽減、および業務の柔軟な運用を実現します。
上記のように36協定は長時間労働を是正し、適切な業務運営を行うことで、健全な労働環境を整えるべく策定された指針です。
出典: 36協定で定める時間外労働及び休日労働について留意すべき事項に関する指針|厚生労働省
研究開発職でも適切な労働環境を確保しよう
ここまで解説してきたように、研究開発職の適切な労働環境を確保するためには、36協定などを遵守することが重要でしょう。